交通事故問題解決の流れ(令和5年5月18日改訂)

TNF_0936.jpg交通事故に遭った場合、交通事故の被害者は加害者(通常は加害者の加入する保険会社)から損害賠償金を受け取るようになります。

この損害金を適正な金額で受け取るためには、交通事故に遭遇した直後から適切な対応を取ることが非常に大切です。

しかし、交通事故被害者のほとんどの方は、初めて交通事故にお遭いになられた場合であることが多く、交通事故直後から対処方法が必要であることをご存知でない方がほとんどです。しかし、適正な賠償金を獲得するためには、交通事故問題の専門家である弁護士でなければ対処が難しいのが現実です。

ここでは、交通事故が発生した直後から、問題解決に至るまでの流れ、ならびに、交通事故後に取るべき適切な対処方法についてご説明させて頂きます。

 

①交通事故が発生したら、まずは警察に通報して示談は受けない!

交通事故に遭ってしまった場合は、まずは警察に通報しましょう。もし、警察に通報しなければ、『事故証明書』が発行されずに、交通事故の被害に遭ったことを証明することができなくなります。事故証明書が発行されなかった場合は、交通事故被害者の方が本来受け取るはずであった保険金が支払われないという場合がありますので十分に注意が必要です。また,人身事故であれば診断書を早く警察署に提出し,人身事故の届出をしなければなりません。そうしないと,後で人身事故であることや事故状況の立証が難しくなる可能性があります。

交通事故に遭うと、よく加害者は引き起こした交通事故をなるべく大きな問題にしたくないという思いから、「警察には連絡をせずに、当事者同士で話し合い、内々で示談して済ませませんか?」と話を持ちかけてくることがあります。

しかし、このように示談を持ちかけられた場合は、明確に示談をする気がないと断りましょう。加害者の話を聞くと、有利に思われる条件を伝えられているように思っても、実際には示談を受けることで良いことはありません。

また、注意しなければならないのは、保険会社からの示談の提示について,交通事故後に保険会社との間で一度示談をしてしまうと、示談書に定められた賠償金の額以上の請求権は放棄するという条項が定められている場合がほとんどということです。

そのため、示談提示書に記載された金額以上に、賠償金額を取得できないのが原則です。したがって,もし、加害者や保険会社から示談の誘いがあったとしても、絶対に示談は受けないようにしましょう。

 

②事故状況の確認、ならびに記録

交通事故に遭うといったい何が起きてしまったのか分からない状態になってしまい、何をどうすれば良いのか分からなくなるというケースが多いです。このため,人によっては、警察に連絡をすることすら動揺のあまり忘れてしまうこともあるのですが,前述のように必ず事故の届出をして下さい。

その上で,冷静な対応を取るためにも、まずは交通事故問題の専門家である弁護士に相談をし、適正な賠償金を獲得するためには、どのように対応すればよいのか相談し確認しましょう。

交通事故後に必要になる対応においては、以下の情報を確認・記録することが重要になります。

 

●記録すべき交通事故の加害者情報

①氏名
②住所
③連絡先
④車のナンバー

もしも、交通事故現場に目撃者がいる場合は、その目撃者の方に後日事故の証人になってもらえるようにお願いした上で、加害者同様に氏名・住所・連絡先を教えてもらいましょう。

また、携帯電話のカメラでも十分なので、現場の写真や加害車両及び被害車両の写真を撮影しておき、後日の損害賠償交渉や裁判において証拠として使えるように大切に保存しておくことも重要です。

事故直後の対応を十分に行なった後は、交通事故の専門家である弁護士に問い合わせてください。そして、事故後の対応に抜けや漏れが無いか再度確認を行うことが重要なポイントです。

その上で、対応に抜けや漏れが無いことの確認を行った後には、交通事故で負った怪我の適切な治療、また、後遺障害の等級認定獲得のために、どのような行動すればよいのか相談しましょう。

当事務所では交通事故発生直後の症状固定前の段階から、適正な後遺障害の等級認定を獲得するためにサポートを実施しております。まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

 

③病院での治療

交通事故で怪我を負い、少しでも痛みがある場合は、必ず病院に行きましょう。そして、問診票には痛いところやしびれなどもれなく記入し,先生にきちんと症状を説明して下さい。その上で,通院が必要な場合は、必ず通院しましょう。もし、交通事故で怪我をしたために仕事を休む場合には、仕事上の不利益として休業損害を保険会社に請求することができる場合が多いです。

また、治療の通院で必要になる交通費や治療費の領収書は、全て大切に保管しておいて下さい。後遺障害の等級認定は「医師からどのような治療を受けているのか」「どれぐらいの頻度で通院するのか」によって変わる場合もあります。

適切な治療を受けていないことを理由に、本来ならば貰えるはずの賠償金を貰っていないケースは多く、実は損をしてしまっている場合があります。このようなミスをしないためにも、まずは、交通事故の専門家である弁護士に相談し、適切な治療を受けて適正な賠償金を受け取れるようにしましょう。

 

④治療費・休業損害の打ち切り

ある日突然、治療費の打ち切りを保険会社から告げられお困りではありませんでしょうか?交通事故で負った怪我が完治せず、通院中の状態であるにも関わらず、突然保険会社から一方的な形で治療費や休業損害の打ち切りを告げられることがあります。

初めてこのような状況に遭遇すると驚きふためき、保険会社の言い分を受け入れられてしまう方もいらっしゃるのが現状ですが、しかし、弁護士が保険会社と交渉をすることで保険会社の対応が変わることがあるのです。場合によっては、再び治療費の支払いを行ってもらえるようになったケースもあります。

もし、保険会社から治療費や休業損害の打ち切りを告げられお悩みの方は、すぐに弁護士に相談して下さい。

 

⑤症状固定

交通事故で怪我を負ってしまった後は、怪我の改善のために治療を行ないますが、怪我によってはいくら治療しても、それ以上の症状の改善が見込めない、後遺障害(あるいは後遺症)が残る場合があります。「症状固定」とは、このようにその後に治療を行なっても症状の改善が見られなくなった状態のことをいいます。

症状固定の診断がされると、後遺障害の等級認定を受けることができるようになります。その後に、後遺障害の等級に応じた賠償金を受けることができるようになります。

しかし、注意しなければならないのは、病院といえど全ての病院に交通事故や後遺障害に詳しい医師がいるわけではありません。同じ整形外科であっても、病院が異なれば、症状の診断が異なるケースもあることがあります。

また、後遺障害の等級認定については、後遺障害に理解のある医師でなければ、後遺障害診断書の記入を適切に行なってもらえないなど、後遺障害の等級認定の獲得のために適切なサポートしてくれないケースもあるのです。

 

⑥保険会社からの示談案提示

当事務所にご相談者をされる方から、「保険会社から賠償金額の提示がされたが、金額に納得ができない…」、「保険会社から提示された示談案の内容がよく分からない…」といったご相談を頂きます。

交通事故問題に関わったことがなければあまり知らないことですが、実は賠償金の計算方法には3つの基準があります。そして、保険会社が提示してくる賠償金は、交通事故の被害者の方が本来受け取ることができる金額より低い適正な賠償金額でないことがほとんどです。つまり、被害者は損をしている可能性が高いのです。

当事務所ではご相談者の方の状況を十分お伺いさせて頂いた後に、本来受け取るべき適正な賠償金の計算をさせて頂きます。また、保険会社との交渉がわずらわしいと感じられている方は、弁護士が代理人として適正な賠償金を獲得するために、保険会社と交渉を行うことも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

 

⑦示談交渉・訴訟

保険会社との示談交渉では、弁護士が交通事故被害者の代理人として適正な賠償金を受け取ることができるようにするための交渉を行います。

一般的には、弁護士が交渉すれば適正な賠償金を再度提示されることが多いのですが、弁護士が示談交渉をした場合でも、保険会社からの提案が納得できるものにならない場合もあります。この場合、もちろん被害者のご意向によることになりますが,より適切な賠償金を受け取ることができるようにするために訴訟を提起して、裁判での解決を目指します。

こちらのページでは、交通事故に遭ってから解決まで、どのように弁護士が交通事故の問題解決に関わっていくのかをご説明致しましたが、不明な点やさらにもっと詳しく知りたいことがある方は、当事務所までお気軽にお問合せ下さい。

執筆者 弁護士 菅 野 芳 人

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